前回マスターストーンには天然ダイヤモンドが推奨されるお話をさえていただきましたが、このマスターストーンについてもう少し掘り下げてみたいと思います。
GIAのカラーグレーディングシステムが世界標準となっていることは以前にお伝えしました。
ということは、GIAのカラーグレーディングを踏襲するには、マスターストーンもGIAに監修された石の方が良いということになります。
高くてもGIAでマスターストーンを購入すればいいのではと安易に考えがちですが、GIAでマスターストーンは販売していません。
とするとなかなかGIAのカラーグレーディングに沿った形でのカラーグレーディングは難しいのではないかと思いますが、そこは世界標準を作り出したGIA。
GIAのラボ、GTL(Gem Trade Laboratory)ではきちんとしたマスターストーンのセットを作るお手伝いをしてくれます。
まず、以前お伝えしたマスターストーンを選ぶ際の厳密なガイドラインに沿った石と思われる天然ダイヤモンドを自分で探してきます。
そして、その石をGIAのGTLに送ります。
GIAのGTLでは、送られてきた天然ダイヤモンドをマスターストーンを選ぶ際のガイドライン、石のサイズ、蛍光性、透明度、カット、色などにあうかどうか注意深く検査し、GIAオリジナルのマスターストーンと比較します。
GIAオリジナルマスターストーンと比較して問題なければ、この石をマスターストーンとしてGIAのGTLで記録し保管します。
これは、後日、他の石をマスターストーンとしてグレードしたいといった場合に対応できるよう記録を取っておくとのことで、同じマスターストーンを再検査することを防ぐ目的で行われています。
そして、マスターストーンとして認められた証明とともに石が返却されます。
このマスターストーンとして認められた石が他の石と混じってわからなくならないよう、石の重さ、サイズ、内包物のプロットなど記録を取っておくことを推奨していますが、石のガードル部分にマスターストーンであることをレーザー刻印してくれるサービスもあります。
送られた石の検査後、マスターストーンにはふさわしくないという結果も出ることがあり、その場合もマスターストーンとしてグレードした場合と同じ費用がかかるため、GTLでは、石を送る前に、その石がマスターストーンのガイドラインに適合しているかきちんと押さえてから送るよう注意喚起しています。
マルキヤ質店 G.I.A. G.G.(米国宝石学会公認鑑定士)蔡 彰訓