パイロープガーネット(Pyrope Garnet)6
前回、パイロープガーネットが単屈折であることと
単屈折とは何かについてお伝えしました。
一方、ルビーは複屈折であるため、
このことが屈折率と合わせて
パイロープガーネットとの決定的な違い
であることもお伝えしました。
では複屈折とは何なのでしょうか?
光は電磁波の一種で
あらゆる方向に振動している
と考えられているということはお伝えしましたが、
その光が結晶(宝石)に入射した際に
物質を通過するので、
単屈折の時と同じく
光の通貨速度はおそくなるものの、
単屈折のように光の振動に影響を受けることなく
光が通過していくのではなく、
光の振動が一定方向になり、
通過スピードの異なったふたつの偏光に分かれて、
光が通過していく現象を
複屈折(DR = Double Refraction)とよんでいます。
では、複屈折だと
どういうことが具体的におこるのか?というと
宝石学用語で、「ダブリング」と呼ばれる現象が起こります。
複屈折が起こる結晶を通して見えるイメージが
カメラのピントがあっていない時のように
二重に見えるのです。
例えば、線を1本描いた紙の上に
複屈折の結晶を置くと
結晶を通して見える線は
あら不思議
二本に見えるのです。
主人はこの手法を
水晶の玉として持ち込まれた時、
その玉が水晶かどうか判断する際に使っています。
水晶は複屈折なので線を引いた紙の上に置いて
水晶玉の中を見ると線が二重に見えます。
これがきれいに1本の線として見えていると
単なるガラス玉の可能性が大
ということになるのです。
つづく・・・
明日香