前回からのつづき・・・
それぞれのルート詳細は以下の通りです。
シルクロード地図A:河西回廊と3つのルートを示した地図
出典:
https.://www.kaze-travel.co.jp/blog/silkroad_kiji056.htm
シルクロード地図B:敦煌からの3ルート拡大地図。楼蘭へのルート表示あり
出典:
https://www.artm.pref.hyogo.jp/2002-08old/exhibition/t_0508/p3.html
①天山北路(てんざんほくろ)
上記
シルクロード地図A:ピンクラインのルート。
シルクロード地図B:深緑ラインのルート。
新疆ウイグル自治区の北側にあるアルタイ山脈と
天山山脈のあいだを通るルートで、
新疆ウイグル自治区の東部にある
オアシス都市、哈密(ハミ)から始まり、
天山北路と天山南路の分岐点の
吐魯番市(トルファン)を抜けて北へ向かう。
新疆ウイグル自治区の首府
烏魯木斉(ウルムチ)を通り
天山山脈の北麓沿いを進んでイリ川流域に出て
隣国カザフスタンに抜けるルート。
このルート沿いは標高1000mの
草原が広がっており
草原ゆえ、他の2ルートと比べると
食料、水の確保が容易。
昔から遊牧騎馬民族が住み、
その痕跡が多く残る地域。
哈密(ハミ)
このルートが始まる都市、
哈密(ハミ)はオアシス都市。
清朝時代、ウイグル族の政権が統治していた
哈密(ハミ)王国があったところ。
そのため哈密(ハミ)王国の
王の墓等文化的遺産も多い。
天山北路の要衝として栄え、
ハミウリの産地として有名。
鳥魯木斉(ウルムチ)
途中通過する烏魯木斉(ウルムチ)は
新疆ウイグル自治区の首府。
高層ビルが建ちならぶ、人口258万の大都市。
シルクロード観光の玄関口で
交通、観光の要衝となっている。
新疆ウイグル自治区博物館は
ミイラ博物館として有名。
鳥魯木斉(ウルムチ)の名前の由来は
モンゴル語の美しい草原。
中国のスイスとも呼ばれる
景勝地が郊外にある。
②天山南路(てんざんなんろ)
上記
シルクロード地図A:青いラインのルート。
シルクロード地図B:紺色ラインのルート。
新疆ウイグル自治区中央を通る天山山脈と、
タクラマカン砂漠の間を通るルートで、
敦煌か安西を起点として北上し、
オアシス都市、哈密(ハミ)を通過して
天山北路と天山南路の分岐点
吐魯番市(トルファン)まで南下して、
南西の庫尓勒(コルラ)を通り
新疆最大の仏教石窟寺院、キジル千仏洞のある
庫車(クチャ)を通過し喀什(カシュガル)へ進む、
または、敦煌をきてんとして、
1900年にヘディンによって発見された
楼蘭(ろうらん)に向かい、ここを通って
庫尓勒(コルラ)に出て、庫車(クチャ)、
そして喀什(カシュガル)へ進むルート。
このルートは孫悟空で有名な西遊記に
登場する三蔵法師(玄奘三蔵)が
仏教の経文原典を求めてインドに向かった時に
使ったルートとしても有名。
今ではこのルートに沿って
吐魯番(トルファン)から喀什(カシュガル)まで
南疆線(なんきょうせん)と呼ばれる鉄道が
通っており、1999年12月に
終点カシュガルまでの全線が完成した。
吐魯番(トルファン)
オアシス都市、哈密(ハミ)を過ぎると
シルクロードを代表する観光地
吐魯番(トルファン)にたどり着く。
吐魯番(トルファン)は、天山南路と天山北路の分岐点。
昔から交通の要衝として栄え、漢民族やトルコ系ウイグル人
が支配し、異文化が共存していた場所。
吐魯番(トルファン)の郊外には
西遊記に登場する三蔵法師(玄奘三蔵)が
インドに向かう途中に立ち寄り、歓迎を受けて
1か月ほど滞在し、仏教の講義を行った、
高昌国の王城・高昌故城(こうしょうこじょう)や、
中国でただ1つ残る漢代からの都市遺跡である
交河故城(こうがこじょう)、
西遊記の話に登場する火焔山(かえんざん)、
など、見どころが多い。
庫車(クチャ)
仏教が東へ伝わっていく過程を知るうえで
外せないのが庫車(クチャ)
天山南路最大の仏教王国、亀茲(きじ)国が
栄えていた場所で、三蔵法師(玄奘三蔵)が立ち寄り、
その大きさを「伽藍百余か所、僧徒五千余り」
と言い残すほどで、今も多くの仏教遺跡が残っている。
そうした遺跡の中には、
三蔵法師(玄奘三蔵)の著書「大唐西域記」
に記されているスバシ故城や
新疆最大の石窟寺院のキジル千仏洞等があり、
このキジル千仏洞の壁画に描かれている五弦琵琶が、
日本の正倉院に収蔵されている、螺鈿紫檀五弦琵琶と
同型とされおり、仏教の東漸を示す
貴重な資料となっている。
シルクロード5へつづく・・・
明日香