パイロープガーネット(Pyrope Garnet)7
前回お話しした1本の線を描いた紙の上に
単屈折の物質(等軸晶系の結晶、非晶質の物質、液体)
をおいたらどうなるのでしょうか?
単屈折は、通過する光の振動に影響を受けることなく
偏光することなく光が物質を通過するため、
何の変化も起きません。
紙の上に描いた1本の線は
単屈折の結晶を通してみると
そのまま1本の線として見えるだけ。
よって前回最後にお伝えした水晶の玉が
複屈折の水晶ではなく、単屈折のガラスの可能性が大、
ということになるわけです。
話を少し戻して、ルビーですが、
前々回、鉱物を形作っている結晶内の結晶軸にあわせて、
分子がどのよう並びになっているか晶系とよび、
7種類あることをお伝えしました。
その7種類の晶系のうち、
単屈折の鉱物は等軸晶系のみで
残りの6種類の晶系は複屈折。
パイロープガーネットは等軸晶系だから単屈折。
ルビーは三方晶系ですから複屈折となり、
色は似ていても全く違うということになるわけです。
パイロープガーネットに入った光は
そのまま偏光せず通過するので
1種類の光となり、屈折率も1つで 1.746。
ルビーに入った光は一定方向へ2つの光に偏光し、
通過するので、2種類の光となり、
前回お伝えしたダフリングが見えることになります。
光の速さは30万㎞/ですが、これもお伝えしたように
物質の中を通過するため速度は落ち、
2種類の光になっているため
それぞれの光の速度は16.9万㎞ /sと 17万㎞/sに、
屈折率もそれぞれ 1.762 と 1.770となります。
このように複屈折が起こることにより
計測される2つの屈折率の事を
宝石学用語で複屈折率(Birefringence)とよびます。
つづく・・・
明日香