パイロープガーネット(Pyrope Carnet)9
前々回で複屈折率(Birefringence)の話をしましたが、
もう少しこの話をしたいと思います。
結晶に入射した光が複屈折している場合は
入射した光が2種類の光に分かれています。
光の種類が変わっているので
当然、光の屈折率もそれぞれ違うことになり、
別々に2つの方向に屈折して
結晶内を通過しているわけです。
2つの異なった屈折率が測定できるため、
日本語で 複屈折率とよばれており、
英語で Birefringence と呼びます。
この2つの屈折率を測定した際の
最大の屈折率と最小の屈折率の差異
つまり、最大屈折率から最小屈折率を引いたものが
複屈折率(Birefringence)となります。
例えばルビーだと、
最大屈折率は1.770、最小屈折率は1.762
よって複屈折率は 0.008=1.770 – 1.762
となります。
この屈折率の差異が大きければ、大きいほど、
ダブリングになりやすい、
つまり、結晶を通してみるものは
顕著に二重に見えるということになります。
ちなみに、カルサイトという結晶は、
かなり顕著なダブリングがみえる結晶、
つまり、この結晶を通じてみるものが
顕著に二重に見える結晶ということで
有名なんですが、
その複屈折率を計測してみると0.172と、
ルビーの0.008と比べても突出して
大きい数値となっており、
複屈折率が大きな値=顕著なダブリング
ということを裏付けています。
つづく
明日香